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はじめに

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出典:eiga.com

 

公開日:日本  2015年2月14日

監督:堤幸彦

主演:高良健吾 , 石田ゆり子

原作:天童荒太

 

堤幸彦監督は、日本を代表する映画監督であり演出家。

『悼む人』だけでなく、TRICK の劇場版映画、大人気漫画から映画化された21世紀少年やBECKなど幅広いジャンルを手がけている。

映画の撮影において、監督さんは役者の演技をカメラの側で指示を出しているイメージだろう。これはいたって普通の取り方であり、私たちが良く想像する撮り方である。しかし、堤監督は撮影方法が独特であることが知られている。別の場所にテントを移し、モニターを通して全ての指示を出すのだ。この撮り方の方が撮影が効率的だという。確かに私たち映画の視聴者は、カメラを通した映像しか見ることができない。しかし、撮影場所の空気感や感情の機微を画面越しに捉えて指示が出せるというのは、一視聴者として感嘆するばかりである。

 

原作は天童荒太さんの著書。80万部越えの大ベストセラー『悼む人』である。

内容は、同じく天童荒太さんの著書『包帯クラブ』に似ている印象。

ちなみに、傷を負った人たちの傷を負った場所を包帯で巻くというストーリー。

 

突然だが、死者には一人称がない。つまり『私の死体です。』はありえないのだ!!

必ず二人称か三人称である。

私の死体という概念がない以上、人は必ず死ぬと誰かに影響を及ぼす。

そして、忘れられ朽ち果てる。ただ『悼む人』は、人の死を悼み続けるのだ。

どんな人でも。どういう人かも知らずに。そういうことをただただ悼む人だ。

悼むとは、愛を覚えているということ。

 

予告動画

あらすじ

高良健吾さん演じる坂築静人(さかつき しずと)が今作の主人公・『悼む人』である。

彼は、新聞や雑誌の切り抜きやテレビの報道を手掛かりに、全国各地を放浪。

亡くなった人の現場で『悼む』ということをしている。

 

映画『悼む人』は、彼の行動を軸としてに描かれるストーリーである。

死者に一人称がない以上、誰かが死者についての人生を知っている。その人は、彼の悼むという行動を見たときに、どう思うのだろうか。冒涜なのだろうか。愛と捉えるのだろうか。

そして彼もまた生きている。彼にも人生で関わる人がたくさんいるのだ…

 

・静人の母は、末期の癌患者である。彼の帰りを待ち、ずっと彼の生き方を理解ができなかったが…

死が近づいた時に、本当の意味で彼の生き方の凄さが分かるのだろうか。

・静人の父は、無口で対人恐怖症。人と話すことがあまり得意ではない。

戦争の空襲で兄が亡くなる。

・静人の妹は、赤ちゃんを身ごもるも相手の男性が責任を放棄して、逃げてしまう。

でも、せっかく授かった子は必ず産むと言い張る。

 

・蒔野抗太郎(まきの こうたろう)という週刊誌記者。通称『エグノ』と呼ばれ、残忍な犯行などを記事にする記者。実の父親に強い憎しみを持っている。

・奈儀倖世(なぎ ゆきよ)は夫を殺した罪で服役していた。服役後、夫の死の現場で悼む人に会う。

 

感想・まとめ

エグノから静人に質問するシーンがある。

『そんなこと何のためにやっているんだ?(悼むことについて)』。

『自分は病気だと思ってください。』というシーン。

人はみんな自分がやっていることについて、『それをやることに何の意味がある』という。

しかし、本当に大事なこと程、人に説明できないのではないだろうか。

人は誰でも自分のフィルターを通してしか、何も見ることができない。

 

悼む人は、その人がなぜ死んだのかを覚えているのではなく、その人がどんな人に愛されていたのかを覚える。

私たちは、死についてあまりにも鈍感である。

必ず自分が死ぬのに、自分はいつまでも死なないと思っているのである。

ニュースや新聞、あらゆる情報から人が死んだ情報を得ている。

しかし、自分が知らない人を悲しんだりすることはない。どんな人に愛され確かに生きていたことを忘れない。

 

例え自分が死んだとしても、必ず誰かに自分の存在を覚えていて貰える。

愛の意味を実感したような気がした。

生と死の間にいる『悼む人』は、死の情報を慣れてしまった現代社会の弊害を教えてくれている。

人の死を悼むとは、愛ということだろう。それぞれ人々には、必ず人生のストーリーがあるのだから。